ノスタルジア
どこからやって来たのか、気づいたらいた澪の姿。
いつもみたいになんだかだるそうに歩きながら、そこにいる私と黒猫の前で立ち止まった。
澪! と声を出そうにも、やっぱり出なくて。
そこで、ぐらりと何故か視界が歪んだ。
一瞬何もかも真っ白で掻き消されて、また元の状態に戻る。
いや……正確には元の状態にではない。
さっきまで上から見ていたはずが、何故か正面にいる澪の姿。
良かった、ちゃんと今度は自分の身体の中だ。
彼は私を見て、微笑む。
「キキ」