ノスタルジア




────

──────

─────────





「キキ」




彼女がそう呼びかけると、そこにいた仔猫は"ニィー"と、か細い声を出した。





「おいでなさいな、キキちゃん」





今度はふざけて、そう言いながら柔らかい笑みを浮かべる。




庭で座っていた黒い仔猫は、差し出された彼女の腕のなかへと駆け寄っていった。





「可愛いやつめ」




「……なんかむかつく」




「あれ、ヤキモチか澪」





いじわるっぽく白い歯を見せた彼女の笑顔があまりにも愛しくて。



照れ隠しにムニッとその頬をつまんだ。





「あ、図星?」





「……そうだけど」











< 213 / 482 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop