ノスタルジア





夕日が沈み始めた、彼女の家の庭で。




俺とアヤノはいつもみたいにのんびりと、ただ流れていく時間を過ごしていた。





「お母さんは仕事?」




「たぶん……。キキに餌だけあげて、いつもみたいに出ていったから」




「……そう」





「キキちゃん、ニ゙ァー」




"ニ゙ァー"なんて、変な鳴き真似。




アヤノは庭の縁側に腰掛けながら、黒猫の"キキ"と変な声を出してじゃれている。




俺はそんな彼女の隣に座りながら、オレンジ色の夕日を背景にその光景を眺めていた。





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