ノスタルジア
できることなら、彼女の哀しい顔を見たくなかった。
だから俺は平気な顔して感情を隠す。
……だけど、本当は。
彼女を哀しませないために、情を深い深い奥に隠したなんていったけれど。
実のところはそう見せかけていただけ。
口に出さなければ分からない、なんて。
酷く簡単な考えを持つ俺の本質を。
ずっとそばにいた彼女は知ってしまっている。
何よりも"同情"が嫌いな自分の隣にいるのは
何よりも"同情"を強く思う男だと。