ノスタルジア
「これ?」
台所へ来てすぐに、戸棚の上に置いてあった猫缶らしきものを見つける。
小さな缶にかわいらしい猫の絵が描かれてあって、ちゃんとマグロ味とかかれているのも確認した。
プルタブ式なので缶切りも必要ないだろうそれを持って、靴をはき捨てた縁側に戻る。
そこにはすでにアヤノの姿はなかったが、俺は急ぐことなくアヤノの家の庭を出た。
もう何回と通ったか分からないこの家の門を出て、すぐ一方通行の小さな道路に出る。
そういえば眠いな、なんてあくびをしながら右へひねった俺の頭。
彼女はやっぱりそこにいた。