ノスタルジア
なかなかその場から動こうとしない彼女に、俺は歩きだす。
「そんな所にいて、車でも来たら危ないって」
そう言ったのと同時に後ろから聞こえた、大きなエンジン音。
少し離れた所から、大型のトラックがこちらへ向かって走っていた。
俺は掴んだ彼女腕を引っ張って、道の縁へと移動させる。
「ボーッとしすぎ」
「あ、ごめん」
エンジン音とともに、だんだん近づくトラック。
一方通行の狭い道を、すれすれで走る。
ちょっと危ないか……なんて、彼女を引っ張ったまま近くの小道へと避けた。