ノスタルジア






ぽかんと、だらしなく開いた口が塞がらない。




ペコリと医師にお辞儀をすると、荷物を抱えて帰っていく彼女。




カツカツ、と響くヒールの音が物凄く耳障りで。









「えっ……と、お兄様ですか? とりあえず詳しい話は検査を終えてから後ほど」






少し困惑しつつも、忙しいのであろう医師は俺の返事を待たずに白衣をなびかせて廊下の向こうへ消えていった。











俺はただぼんやりと、その場に立ち尽くす。









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