ノスタルジア
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「……今日も見えないんですか? ご家族の方」
「そうみたいです」
「色々お話ししなきゃいけないことがあるんですけどねぇ」
点滴を交換しににきた若い女の看護師さんが、少し困り顔で呟く。
「あー、すいません……」
「あっ、いえいえ。お友達なのに毎日来てくださって感心してるんですよ私」
……友達、ね。
「じゃあ」と言って病室から出ていった看護師さんに、軽く頭を下げて深い息を吐いた。
あれから3日経つ。
……けれど、アヤノの母親が一度もここに顔を出すことはなかった。