ノスタルジア
奇跡が起きることもなく、未だに昏睡状態のアヤノは。
個室に移されて、目の前のベッドに横たわっている。
少しのかすり傷や縫合した傷がまだ腕や顔に痛々しく残るも、大きな痕が残るような目立った傷はなく。
まるでただ眠っているだけかのように、微かな息も聞こえている。
彼女は俺を独りにした。
そう思っていたが、ちゃんと呼吸して反射でたまにぴくりと動く彼女を見ると。
アヤノはまだ死んでいない、と。
少し前向きに考えられることができた。