ノスタルジア





「……キキ」




無意識に、そう呟く。




不運にも、あのときアヤノが身をていしてまで守ったその仔は。




アヤノ同様に無事とは言いがたい状態だった。






死んだわけではないのだが、ぐったりとしていたし。




そこについていた紅は、恐らくアヤノだけのものではなかった。






どうするすべもなく、アヤノの救急車を待つ間。





騒ぎをきいて飛び出してきた近所の方に、まだ息のあるその仔を任せたのだった。





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