ノスタルジア
けれど、いくら憎もうが……疎もうが。
キキはアヤノが守った彼女の大切なもの。
小さかろうが、たった1つの大切な命。
迷惑をかけてしまうが、知景に様子を見てきてほしいと頼んでいたのであった。
「……どうだった?」
「アヤノが庇ったおかげで、かろうじて頭や脳は異常ないらしい。だけど小さいだけに衝撃が大きかったから、身体の方の怪我がかなり目立つって」
「……そうか」
「仔猫だから、手術をすれば負担が大きくて逆に身体が耐えきれない場合もある。たまに発作も起こしているようだし……かなり弱ってるみたいだった」
お互いに無意識のうちに漏れたため息。
せめて、アヤノがこうなった今。
キキだけでも元気でいてくれたら……。
それさえも、叶わなかったようだった。