ノスタルジア






「痛かった……?」





スッと伸ばした手で、彼女の頬にあるかすり傷を撫でる。




すっかりそれはかさぶたになっていて、鮮やかな紅ではなくなっていた。






「……アヤノ」






分かってる。






返事は返ってこないんだ。







「君に言いたいんだ……」







俺の声は、今の君に聞こえてる?





その暗いまぶたの裏に、俺はいる?






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