ノスタルジア
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長い。
長くて……切ない夢を見ているようだった。
波の音と、鼻をかすめた潮の香りに目を醒ます。
「……起きたかい?」
ふと見上げた視線の先では、柔らかく笑った彼がそう言って。
いつのまにか私は、ベンチの上で彼の膝に頭を預けて寝ていたらしい。
すっかり暗くなった辺り。
青から黒に変わった海。
彼がかけてくれたのであろう上着を波風で飛ばないように押さえながら、その重たい身体を起こした。