ノスタルジア
ずっと、自分が誰なのかすら分からなかった。
ずっと、それを問おうとしなかった。
あの家のなかで、私たちの世界のなかで。
小さくても2人で過ごすあの時間が好きだったから。
愛しかったから。
彼はいつも何も言わずに曖昧な態度をとるだけだったけど。
それは私を守るためだった?
私が本当のことを知ったとき、このままではいられないんだと。
貴方は私の罪をずっと隠していてくれた?
最期くらい……都合のいいように考えてもいいでしょう。