ノスタルジア
だからといって、私は後でいいのだと言っても彼のことだから。
きっとそれは許してもらえない。
「…………」
どうしようかと俯く私を、しばらくして彼はそっと覗きこんだ。
「……それとも」
「……?」
「一緒に入る?」
くすりと口元に緩やかな弧を描いて、妖艶な笑みを浮かべた彼。
キスされてしまいそうなほど、近い彼との距離。
「……いっ、一緒……!」
「そ」
目を真ん丸にして戸惑い始める私を、彼は面白そうに眺めていた。