ノスタルジア
「ねぇ、澪」
「うん」
パンをかじりながら、ソファーに座る私の隣へと腰を下ろした彼。
まだ少し寝惚けているようなそんな顔をしている。
「これから、外には出られるの?」
「……極力出ないよ。言っただろう、僕はキミを誘拐したんだ。外に出て居所が割れると、いろいろ面倒なことになる」
「面倒なこと?」
「きっとキミに説明しても難しいと思うけど」
「……そっか」
小さく呟いて、近くにあったクッションをぎゅっと抱き締めた。