ノスタルジア
自分を猫だと知って。
その頃の記憶なんかは全くないし、今こうしていても私は猫だったんだという実感も沸いてこない。
そして何故私は何も知らないくせに、例えばこれはクッションなんだと分かるのだろう。
テレビ、時計、ベッドなどの家具。
嬉しい、哀しい、おいしいなどの言葉。
ご飯の食べ方、お風呂の入り方、笑うなどの動作。
全て、猫の私が知るはずもないそれを。
どうして私は今まで出来ていたのだろう、知っていたのだろうと。
私は澪に聞いてみた。