ノスタルジア
この物語のように。
キミは今頃、嘘吐きの神様と話をしているのかい?
頼んでもいないのに、僕のためにその小さな命を捨てようとしているのかい?
分からない……分からないよ、キキ。
どうしてこんな僕のためにそこまでするんだ。
どうしてまた……僕を独りにしてしまうんだ。
「──────死なないでと、言ったじゃないか」
もたれかかって、ギュッと抱き締めた彼女は何だか固くて。
いつの間にか乾いた血が、赤黒くなっていた。