ノスタルジア
何も言わず、何も言えず。
私の耳の横につく澪の左手が、ギシリとベッドに音をたてる。
ドクドクとうるさい鼓動。
じっと澪に顔を見られて恥ずかしいのに、今すぐにでも視線を逸らしてしまいたいのに。
そのままゆっくりと落ちてきた彼の口づけに、私は目を瞑るのが精一杯だった。
「……っ……ん」
無防備に開かれた私の口内に、ゆっくりと澪の体温が侵入する。
「……ぅ……っ」
決して優しくないわけではないのだが。
どこか乱暴で……どこか投げやりで。