ノスタルジア
激しいキスに息もままならなくなった頃、離れた澪の唇。
ハァハァと肩で息をしている私を見て、彼はまた妖艶に微笑む。
「キキがねだったんだよ」
「……っ……澪っ」
呼吸を整える間もなく、今度は私の顔の横へと頭を埋める彼。
にゅるりと、熱い何かが私の耳を這った。
「やっ……澪っ!」
ぐっと彼の胸を押すが、力が入らない。
身体のどこもかしこもが熱くて。
全神経が、澪が甘噛みする耳へと集中される。