ノスタルジア
「キキ、テレビのリモコンは?」
「……えっと、どこにやったかな」
「また適当に放っておくんだから、キミは」
「そ、それより澪! 知景のこと……」
「うるさいな」
「……!」
本気で心配する私をよそに、澪は焦る仕草ひとつ見せずにクッションを退かしたりしてリモコンを探している。
ことの重大さを分かってないのか、この人は。
むぅっとふくれる私を見て、彼は小さく呟いた。
「あれくらいで拗ねる奴じゃないよ、アイツは」
「……え」
──────ポーン。