ノスタルジア
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「……ッ!」
一瞬、息をすることさえ忘れたまま。
見開いた目を右往左往。
なぜか冷たくなっていた右手の指先を、眉間に置いた。
……夢だった?
回りには暗闇の中、時を刻むシンプルな時計。
黒いシーツの羽毛布団。
見慣れた、澪の服が入っているクローゼット。
寝室だ。
大丈夫。
あの空間は、もうないのだ。
ホッと、一息吐いた。
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