不機嫌honey
自由と双子
【澪王】



昔から誰かに指示をされるのが嫌い。



誰かのいいなりになるなんて、あり得ない。



「今まで散々自由にさせてやったんだ。たまにはこっちのお願いくらい聞いて欲しいもんだな」



俺は自由に生きてきた。



実家が金持ちで、欲しいモノはなんでも与えられ、ワガママ放題。



稼業を継げと言う親父を説得し、跡取りの座を弟に擦り付け、俺は好きなことをやっている。



「ヤダ」

「わかった。お前がスタジオにしたそこの物件は回収させてもらう」

「はぁ!?俺の金で改装したんだぞ!!」

「悪いな、名義は私だ」



今、初めて親父がキレた。



今までなにをしても笑っていた親父から初めて聞いた低い声。



本気っぽい…。



中学の時からバンドにハマり、学生時代はライブに明け暮れ、今じゃそこそこ売れてるプロ。



歌うことが好きで、バンドやってりゃ女にモテた。



それなりに稼いでいて、働かなくても贅沢できるくらいの蓄えはある。



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