不機嫌honey
そんなあたしのせいで、親戚はみんなあたし達を引き取るのを拒んだ。



『ふたりでがんばろうね』



そう言ったユウリが夜に仕事を始めた。



なにをしてるのかなんて、雰囲気でわかってしまう。



せっけんのいい匂いの日、キツい香水の匂いの日。



泣きそうな日、ユウリが苦しそうで、どっかに行っちゃうんじゃないかと思った日。



あたしを食べさせるために、ユウリは自分を犠牲にしていた。



そんなある日、紳士的なオジサマがうちを訪ねてきた。



それが真王さん。



うちのお父さんとは先輩後輩の関係で、真王さんと奥さんを引き合わせた過去を持っていた。



『子どもは子どもらしく、大人に甘えなさい。君たちの面倒は私が見させてもらうけど、いいかな?』

『ふたり…一緒に…ですか…?』

『当たり前だろ?君たちは家族なんだから』



その言葉で、あたしとユウリは号泣。



優しい真王さんの言葉に甘え、自立したらお金は返すと約束をして。



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