不機嫌honey
何も言わなくてもわかってくれてるのか、そのまま抱きしめかえしてくれた澪王。



「メシ食ったか?」

「とっくに食べた…」

「俺、時間なくて食ってねぇの。ちょっと付き合え」



珍しく買ってきたらしく、お弁当を温めて食べ始めた。



いつもは食べてくるくせに。



あたしが明日ママに会うから早く帰ってきたんでしょ?



そういうの、ずるいよ。



「最近超優しくてムカつく…」

「なんだよ、それ…」

「だって、なんか澪王が大人なんだもん…」

「そうか?俺は普通だけど」



優しいよ。



ユウリに対しても、あたしに対しても。



「言わないようにしてたけど、不安なんだよ、俺も」

「なんで澪王が不安になるの!?」

「正直、俺はお前と離れたくないからな。恥ずかしいから言いたくなかったけど…」



大好きなんだけど。



澪王からそんなこと言われると、今以上に好きになるんだけど。


やっぱりずるいよ。





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