不機嫌honey
澪王のおかげでゆっくり眠れた次の日、ワンピースを着てコートを羽織った。



バッチリメイクは気合いを入れるため。



ヒールの高いブーツで、身長をごまかす。



「そんなにオシャレして、楽しそうだね、シュリ」
 
「どんな人だと思う?」

「顔だけ美人で、性格最悪のクソ女」

「一応ママなのに」

「僕には母親なんていないよ。今までもこれからも」

「わかってるよ。じゃ、行ってきます」

「いってらっしゃい」



送り出してくれたユウリは、やっぱり会おうとは思わないみたいだ。



マンションを出て、タクシーで向かったのは、あたしには敷居の高いお店。



誰にも邪魔されたくないと言ったら、澪王が予約してくれた。



さて、どんなひどかな?



今さらどの面下げてあたしに会いたいなんていったんだろうね。



妙に落ち着いていたタクシーの中。



「着きました」

「帰りもお願いできる?」

「店の人に呼んでもらうと、近くにいるタクシーがすぐきますよ」

「わかった。ありがとう」



タクシーのおんちゃんにお礼を言って、ワクワクしながらお店の中に足を踏み入れた。


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