不機嫌honey
そこにいたのは、背の小さい女の人。



似てるかな?



あたしのママか…。



「お料理をお持ちいたします。お飲み物はいかがなさいますか?」

「アルコールなしならなんでも…」

「かしこまりました」



襖が閉まった。



あたしはどうしたらいいんだろう…。



「大きくなったのね…」

「そりゃもちろん…」

「ごめんなさい。あなたたちを置いて出てってしまったこと、ずっと後悔していたの」



そうなら、なんでもっと早くこうしなかったの?



あたしもユウリも苦労したのに…。



「借金、パパに押し付けて男と逃げたんでしょ?」

「あの人がそう言ってたの?」

「違うよ。昔は、パパの友達が遊びに来た時に聞いた」

「そうよ。若かったからって言ったら、ただの言い訳になるけど。あの頃は必死で、自分の時間なんて全然なくて…。私は逃げたの、シュリとユウリから」



そんなにはっきり言われるとは思ってなかった。



やっぱり、あたしたちは捨てられたんだ。


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