キャンディ☆キス
知られるのもシャクだけど、勘違いされるのも困る複雑な気持ち。
だって私には、まだそんなこと言える勇気もないし……。
掴んでしまったシャツをパッと手放すと、一樹はいきなりこちらを振り返った。
「ってことは
もしかしてオレのこと好きとか!」
「ええっ!!」
それこそキスをされてしまいそうな近距離でのすごい発言。
ドッキーーーン!
待てーっ!それってさっきよりもっと答えにくいじゃん!
両手で頬は隠したけど、私にはもう顔色を変えない余裕なんてなくて。
「亜希、お前顔赤いぞ。…図星!?」
さらに追い打ちをかけるように、一樹がバカみたいにからかうから
焦って言い訳のしようがなくなった私は、つい……
「ば、バカじゃないの!?
一樹のことなんて男だって意識してないって言ったじゃん。お子さまみたいに甘ったるいキスで女の子集めてさ……
やっぱりバカズキなのは昔から変わってないよねっ」
プイッと顔を横に向けながら
ヤキモチを含んだようなすごくイヤミな言葉を、強気で一樹に返してしまったのだ。