キャンディ☆キス
切ないマスカット
夏の風が窓際の緑を揺らす。
結局その日は、別々に学校へと向かった私と一樹。
せっかく同じ教科を選択していた日だったというのに
隣に座るどころか、あれからまったく口も利かないままだった。
「亜希〜、あんた補習やる気あんの?さっきから話しかけても全部上の空だし。ほら、テキストも全然進んでないじゃん」
「わかってるって……」
「そればっかり(汗」
半分心配してくれてるのか呆れているのか、聞き慣れた由美の声も右から左に通り抜けていく。
一樹の大バカ。そんなつもりで言ったんじゃないのに……
戻せない後悔ばかりが、ポツリポツリと溢れ出て。
こう言えば良かったのかな、こう返せば大丈夫だったのかな。
いっそあのままキスされちゃえば良かったのに。
無意味なため息ばかりが何度も繰り返された。
「ねぇねぇ、そういえばなんで今日は一樹くんと一緒に来なかったの?あんた達いつもは仲イイじゃん」
「そう……?」
仲良く見えてるんだ…私たちって。
ふと一樹が座ってる席の方へ目をやると、一樹は隣にいる女の子と何やらヒソヒソ楽しそうに会話をしている。
「あれ〜、あの子って前に一樹くんと歩いてるの見たことあるけど。彼女だっけ?」
私は由美の言葉に聞こえない振りをして、視線の先を一樹から外した。
正確に言うと彼女2号だ。