キャンディ☆キス
私には関係ない?
ううん、本当は全然あるよ。
だって私は一樹が好きなんだもん。
ずっと一緒にいたから絶対に言えないけど。他の女の子といる場面も見て見ぬ振りしちゃうけど。
小さい頃から、私はいつも一樹のことばかり見てて……
私もあの列に並んでたら、何か変わってたのかな。
ちゃんと想いを告げたら、あの子みたいに「いいよ」って言ってもらえたのかな。
でも私にはそんな勇気ないし。
バカズキバカズキって、それこそ女の子らしい付き合い方なんてしてきてないし。
一樹はすごく男の子だよ。
意識してないなんて言ったけど、昔からずっと隣にいればドキドキしてた。
茶色く跳ねた髪にも、笑うと見える尖った歯にも。
覗き込んでくる真っ黒な目や、日に焼けた腕だって。
全部にドキドキして
それが歳を重ねるごとに大きくなってきたんだから。
だから……
あんなに近付かれたら、破裂するに決まってるじゃんっ!!
私は朝のベッドでの出来事を思い出して、また顔が熱くなっていた。
下敷きで軽く扇ぎながら廊下側の席を見ると、一樹はまだ隣の女の子と何か話している。
手元をよく見れば、三角イチゴの包み紙を持ってるみたいだ。
またそんなの食べて……
どうせ補習が終わったら、その子と甘いキスでもするんでしょ?
もう……
なんだかどうでもいいよ。