キャンディ☆キス
「あら亜希ちゃん、久しぶりねぇ」
お店のおばあちゃんは、昔と全然変わらない笑顔で迎えてくれる。
「うん、最近忙しくてなかなか帰りに寄れないんだ」
「もう高校生だもんねぇ。一樹くんは一緒じゃないの?」
「え……うん。今日は別」
私と一樹は、そんなに一緒にいるイメージが強いのだろうか。
おばあちゃんはニコニコと番台に座って笑っていた。
「……一樹さ、彼女とかできて。私がいつまでも一緒にいるのも変になっちゃったんだよね」
「そう……」
「なんかもう部屋に来るなとか言われるし、ムカツクっていうか……」
「ふ〜ん」
おばあちゃんはただ黙って私の話を聞いている。
適度な相づちが、なんとなく胸にしみてキュッとなった。
「で、でもっ。やっぱり仲直りとかはした方がいいよね、おばあちゃん」
あめ玉のコーナーで立ち止まる私に、おばあちゃんは相変わらずニコニコしていて。
そうだよ、別に彼女じゃなくたって一緒にいればいいじゃん。
今までみたいに
仲良く話せたらそれで……
私は一樹に三角イチゴを買って帰ろうとピンクの袋を探した。
それを渡して仲直りして、また一緒に学校へ行けたらいい。
きっとそれだけでも十分……
でも、どれだけ探しても三角イチゴのピンクの袋は見つからなくて。
「おばあちゃん……三角イチゴもうないの?」