キャンディ☆キス

いろんな飴の袋が並んでいる中で、三角イチゴだけは見当たらない。

おばあちゃんは番台から下りてきて、私と一緒に棚の周りを探し始めた。



「あぁ、たぶんさっきので売り切れたんだねぇ。
彼氏がイチゴの飴が大好きなんだとかで、亜希ちゃんくらいの女の子がたくさん買って行ったんだわぁ」



彼氏が……?

私の頭の中に、いろんな女の子の顔が浮かぶ。

彼女1号? 彼女2号? 3号、4号?



だって……だって三角イチゴが好きなのは一樹じゃんっ!



なんだかわからないけど、変に悔しくなって……。

気が付いたら、目からいっぱい涙が出てた。



「あー、亜希ちゃん。
このマスカット味もおいしいよ?これじゃダメかい?」



やっぱり幼なじみより、彼女の方がずっと近くて……。

どんなに仲良しでも、幼なじみなだけじゃ一番近くにはいられなくて。



もう……バカバカバカバカっ!



一樹が? 私が?

止めようと思うと、涙はなおさら溢れるようにできてるらしい。



「亜希ちゃん……」



おばあちゃんが差し出してくれたマスカットの袋に、私は首を振った。

袖先で涙を拭うと、
お腹の奥からどんどん苦しい感じが込み上げてくる。



「イチゴじゃなきゃ、ダメ……」



きっと…
彼女じゃなきゃ、ダメなんだ。




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