キャンディ☆キス
考えてみれば、オレの作戦はいつも失敗に終わっていた。
幼稚園の時だって本当のターゲットは亜希だったのに、肝心な本人だけが並びに来ないし。
彼女とか作ればヤキモチでも妬いてくれるだろうかと片っ端から告白にOKすれば、
亜希は知らん顔で彼女という存在だけが増えていくし。
冗談とはいえ調子に乗って押し倒してみたら結局拒否されて。
その挙げ句にケンカしたみたいに気まずくなっちゃったし。
どれもこれも
本当にうまくいかなくて。
せめてオレが男なんだってことを感じてくれたら、ちょっとはこの距離が変わるんじゃないかって……
そう思ってんだけどなぁ。
学校に着いて教室の扉を開けると、亜希の姿が見えた。
ぼーっと外を眺めてるだけだけど、時々風に吹かれた髪がまとわりつくのか、指で前髪をとかす仕草になんとも惹かれる。
今日は同じ教科を選択してたのか。
「一樹くん今日現代文なの〜?じゃあ一緒に座ろっ」
「えっ……あ〜うん、いいよ」
入学当初から付き合ってる彼女だけど、いきなり後ろから腕を組まれたから驚いた。
亜希はこういうのを見てもなんとも思わないのだろうかと視線を送ってみたけど、全然こっちを振り向く様子はなくて。
「まだ怒ってんのか……」
まぁオレもまだショックを引きずってるんだけどね。
けっこう痛いこと言われたなぁ。
オレはまた、亜希とのことをいろいろ思い返していた。