キャンディ☆キス

甘い香りが鼻をくすぐる。

私は枕を抱えながら、まだ残る眠気の中でゆっくりと目を開けた。



「…………?」


「……起きた?」


「…………っ!? 一樹っ!」



な、なななななんでいるの!?



重かったまぶたも一気に覚め、私はそのまま飛び起きて服装と髪型を確認した。



当然パジャマだし
……髪もボサボサだしっ!



「いくら今日が休みだからって寝過ぎだぞ、亜希」


「ちょっ…なっ、なんで勝手に入って来てんの!」


「いや、だって窓開いてたし」



そういう問題じゃないだろっ!

ていうか、
あんた自分はもう部屋に来るなとか言ってたくせに、私の所には平気で来てんじゃん!



今日はちゃんと謝ろうとか、気持ち伝えようとか、そんな風に思ってたけど、

いきなりこのシチュエーションではかなり無理がある。



「っもう!そんな急に来られたって、準備とか……勇気とか……
うぅ~!困るじゃんバカズキっ!」



私は何をするわけでもなく、ワタワタとベッドの上でもがいていた。



「おい、ちょっと落ち着けよ。
ほら、口開けろ」


「はぁ?……んっ!」



口に入って来た三角の形。
でもイチゴじゃない。



「……すっぱいんだけど」


「おぉ、それ亜希用の作戦で買った三角レモンだから、お前にやる。オレやっぱりイチゴ味の方がいいしさ」



作戦とか……意味がわからん。

なんで私がこれをもらわないといけないんだ。



「一樹……イチゴくさいよ」



いつもとは違ってかなり強烈にイチゴが香ってくる。甘過ぎるっ!



「くさいとかいうなよ(汗)
まぁたしかに、あんなに一気に食べたのは初めてだからなぁ」


< 21 / 25 >

この作品をシェア

pagetop