キャンディ☆キス
甘い香りが鼻をくすぐる。
私は枕を抱えながら、まだ残る眠気の中でゆっくりと目を開けた。
「…………?」
「……起きた?」
「…………っ!? 一樹っ!」
な、なななななんでいるの!?
重かったまぶたも一気に覚め、私はそのまま飛び起きて服装と髪型を確認した。
当然パジャマだし
……髪もボサボサだしっ!
「いくら今日が休みだからって寝過ぎだぞ、亜希」
「ちょっ…なっ、なんで勝手に入って来てんの!」
「いや、だって窓開いてたし」
そういう問題じゃないだろっ!
ていうか、
あんた自分はもう部屋に来るなとか言ってたくせに、私の所には平気で来てんじゃん!
今日はちゃんと謝ろうとか、気持ち伝えようとか、そんな風に思ってたけど、
いきなりこのシチュエーションではかなり無理がある。
「っもう!そんな急に来られたって、準備とか……勇気とか……
うぅ~!困るじゃんバカズキっ!」
私は何をするわけでもなく、ワタワタとベッドの上でもがいていた。
「おい、ちょっと落ち着けよ。
ほら、口開けろ」
「はぁ?……んっ!」
口に入って来た三角の形。
でもイチゴじゃない。
「……すっぱいんだけど」
「おぉ、それ亜希用の作戦で買った三角レモンだから、お前にやる。オレやっぱりイチゴ味の方がいいしさ」
作戦とか……意味がわからん。
なんで私がこれをもらわないといけないんだ。
「一樹……イチゴくさいよ」
いつもとは違ってかなり強烈にイチゴが香ってくる。甘過ぎるっ!
「くさいとかいうなよ(汗)
まぁたしかに、あんなに一気に食べたのは初めてだからなぁ」