キャンディ☆キス
そんなことを話しながら、一樹は嬉しそうにズボンのポケットを探り出した。
私は自分の姿に諦めをつけて、小さく深呼吸をする。
ちゃんと……言えるかな。
パジャマだろうがボサボサだろうが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
そんなことを考えたら、急にドキドキしてきて。
だってこんなバカみたいな一樹に、何年分もの想いを伝えるんだもん。
どんな反応されるんだろうとか、困るとか思われたらどうしようって……
「亜希、手出して」
「え……何?」
一樹はズボンから何かを取り出して、それを私の手の平の上にのせた。
肌色に浮かぶ、小さな赤いハート。
「このハートの真ん中にちょうどイチゴの絵がくるように折るのが難しくてさ。いい感じの包み紙見つけるのに苦労したんだぞ?
そしたらタイミング良く彼女が大量に三角イチゴ持って来てくれて……まぁそれはいいんだけど。
それでっ、一気食いしたってわけ。だからイチゴくさいとか言われてもショックなんだけどなぁ(汗」
一生懸命ハートの説明をする一樹。
だから遅くまで起きてこれを折ってたのか……やっぱりバカだなぁ。
でも……
「亜希……それ可愛い?」
そうやって不安そうに私を見たり
「うん、可愛い」
「じゃあ……嬉しい?」
覗き込むように近付いて来たり
「うん、嬉しい」
「そっかぁ!」
ぱぁっと笑顔を見せたりしてくれるから、なんだかまた、キュンキュンしちゃうじゃん……
「一樹、好き」