キャンディ☆キス
一樹の茶色い前髪が、私のボサボサの前髪と微かに重なる。
すぐ近くにある一樹の顔は、緊張してとても直視できない。
「亜希さ、こんなんで壊れそうになるんだったら、オレがキスしたら気絶するんじゃねーの?」
「……え、ええっ!?」
それからの沈黙はとても長く感じた。二人の間に流れるドキドキの波だけが、何度も繰り返されて。
少しずつ近付く一樹との距離に、何か話さないと本当に壊れそうだったから……
「で、でも……今日の一樹のキスは甘過ぎるんじゃないの?」
「亜希のレモン味と混ざったら、たぶん丁度いいんじゃないかな」
まぁ、どうでもいいか……
何度も重なる柔らかな感触と、
夏の風に包まれた、甘くてすっぱいとろけるようなキスの味。
列に並べなかったあの時から、ずっと待ってた。
誰も知らない
私だけの一樹のキス……
これからきっと、いつでも味わえるんだよね、一樹。
「なぁ、亜希。お前のために言うけど……そろそろ着替えたら?」
「えっ!うわっ、そうだった!」
私は慌てて自分の姿をもう一度確認した。
着替えた覚えはないので、当然まだパジャマのままだ。
「いや、オレは別にいいんだけど。やっぱりベッドの上にいるし、ボタンの隙間から下着見えてるし……なんていうかその、マズイかなっていうか……えっ? ぶふぁっ!!」
「見るなバカズキっ!」