キャンディ☆キス
窓から涼しい風が吹き込んでも、耳まで響くような鼓動はなかなか治まらなくて。
焦って起き上がった私は、鏡を探しながら手グシで髪を整えた。
「一樹のせいで髪が乱れたじゃん」
文句だろうがなんだろうが、今は何か言葉を発していないと落ち着かない。そんな感じだった。
一樹は制服を出そうとクローゼットの扉を開き
私はそんな後ろ姿を見ているだけで、再びドキドキが込み上げてくる。
どんどん背が伸びて、声が低くなって……変わっていく一樹。
そして認めたくはないけど、変わることのない私の想い。
「亜希は昔と全然変わんねーな」
えっ……?
振り向きながら一樹が言った。
「お前、幼稚園の時もオレのキスの列に並ばなかっただろ」
そんな話っ……ていうか
一樹、あの時のこと覚えてるの!?
懐かしいような恥ずかしいような、そんな感覚が体を包んで。
止められないくらいのドキドキが
また始まった……