blue
「あっ…。」




つい、言葉がもれてしまった。





ぷはっとストローから音を出して離す。




「相変わらず、このジュース好きだね尚。」





左右に揺らしながらジュースを揺らす青。





そんな当たり前な姿も、






今では眩しくて






悲しくて







胸が締め付けられた。





「…何か用青?」





やっと言葉が出た。






「そうそう。これお袋に渡しといて。」




ブレザーのポケットからコンパクトに折られた紙が出てきた。



一応受け取り、ポケットに入れる。





「そんなの立に頼めばいいじゃん。」





これは意地っ張り。





立は私たちの幼なじみで、青と同じグループだ。




家は歩いて10分もかからない。




立がいるのに…わざわざ私を探してプリントを持ってくる。







会いに来てくれる…。






そんな訳ないのを淡い期待を隠すためだった。
< 9 / 64 >

この作品をシェア

pagetop