BLACK or WHITE


彼が飲みかけていた砂糖がたっぷり入ったコーヒーを、苦い苦いブラックのコーヒーにすり替えてやったのだ。


ひと口飲んだ彼は、音を立てて固まり、悶絶しながらそれを飲み下した。

そして、今に至る。


意趣返しに満足した私は、唇を歪ませたまま聞く。


「あのチョコは残っていないの?」

「え?あ、まだあるよ」

「じゃあ、頂戴」


そう言うと、死にかけの顔がわずかにほころんだ。


「少し待ってて」


彼の言葉に従うと、すぐにあの四角い箱を持ってきた。
彼が口を開く前に、私は言う。


「じゃあ、順番通りに」

「はい…?」


「だって、どう考えても、順番がおかしいでしょ?」


 順番…と口の中で繰り返た彼は、納得したように肯いた。



「あぁ、そうか…って、えぇ――?!」



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