BLACK or WHITE
「いや、仮に味見できたとしても、多分、綾香のおいしいと俺のおいしいは違うからね」
「…うん、確かに」
言い訳がましく言った言葉に、綾香は真顔で肯いた。
それがまたおかしくて、今度は二人で笑う。
──ここまで好みが正反対で、上手くいくのかと不安に思うことがなかったかといえば、嘘になる。
だけど、この違いが二人を結びつけている部分も、確かにあるのだ。
「綾香、どうする?まだ昼、食べてないでしょ」
「あぁ、うん」
「どっか食べに行く?」
「え?でも、チョコ…」
「俺はもちろん食べたいけど、綾香はまだしばらく見たくないでしょ?」
「……うん」
はっきりとした返事に苦笑しながら、今日の所はチョコはおあずけかなと考えていた。
『苦 v.s 甘 again』fin.