BLACK or WHITE


そう言って、またキスをする。


「…ほら、また黙らせた」

「…確かに、そうかも」


博樹は苦笑してから、リングをはめた私の左手に指を絡めて、嬉しそうに笑った。


…そんな彼に、少々悲しいお知らせをしなければならない。


「あのね」

「うん?」

「…私ね、よく指輪をなくしちゃうんだよね」

「え?」

「もちろん、なくさないように、気を付けるけど…」


そーっと彼の様子を伺うと、彼は瞳をうるうるさせていた。

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