BLACK or WHITE
「どうしたの?」
両腕で抱えたファイルが落ちてしまいそうで、少し心配しながら聞くと、黒田君はそのファイルを手近な机にドンと置いた。
そうして、一番上のファイルをさっと差し出す。
「センパイがさっき話しておられた資料って、これですよね?」
「あ、ありがとう。…わざわざ良かったのに」
今やっている仕事が片付いてから、資料室まで取りに行こうと考えていたものだった。
同僚と話していたのを、聞いていたのか、わざわざ探してきてくれたらしい。
「いえいえ、ついで、ですよ」
じゃあ、とまた大量のファイルを抱えて、彼は立ち去る。