ひまわりの涙
「司さん?」

ユックリ手が離れていく。

心のどこかでその手が離れて欲しくないと叫んでいた。

きっと人の温もりを感じてしまった私の我が儘。

「鞠乃…春仁のこと知ってるか?」

心臓がドキリとした。この話が出ることはわかっていたけど動揺を隠せなかった。

「ごめん、話したくないよな…」

申し訳なく言う司に謝らないでと小さくつぶやいた。

昨日春仁からの手紙を受け取ったことも、一週間後に帰ることも伝えた。

司はただ一言、そうか…と言うだけだった。

その後は気まずさが残ってしまったが、司も仕事があると言うことで帰ることになった。

「今日は忙しいのに私のために時間を作ってくれてありがとう」

お店をでて外で別れを言う。

「そんな事はない。俺が会いたかったんだ」

私はその言葉が嬉しくて泣きそうになった。

誰かにそんな事言われた事があったかすら覚えてない。

「嬉しかったから…楽しかったから」

「…………………」

「お元気で…司さん…」

俯くなと言われたのに顔を見られたくなくてそのまま背を向けて帰ろうとした。

その時後ろから抱きしめられ囁く声がきこえてくる。

「寂しかったら寂しいと言え。無理して笑うな

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