ひまわりの涙
ー6ー
重い足取りで部屋をでて、鏡明人とアパートの階段を下りていこうとした。

そこへ私の目に飛び込んできたのは信じられない光景だった。

黒のリムジンを挟むように同じ黒の車が止まっており、その前に黒のスーツ姿の男性が数名立っていた。

なぜ……こんな事を……

「どうして…ここまで…必要ない…」

歩む足を止め鏡明人を睨んでいた。

鏡はそんな私をあざ笑うように

「あなたはれっきとした神城家のお嬢様ではありませんか?不足だと言われてもやりすぎだと言われる道理はありませんが。」

まるで私がおかしいかのように、ヤレヤレと言わんばかりの表情をした。

「さぁ、行きましょう。鞠乃お嬢様。春仁様も会長もお待ちです」

会長……お父様……

鏡は歩き出さない私の背中に手を添えてきた。

私は反射的に身体をさけた。

「さわらないで!」

「失礼致しました」

そう言って一礼してくる。

そんな鏡を後目に前を向くとかなりの人だかりが出来ていた。

そこそこの住宅街で日曜の昼間と言うこともあり、夫婦だったり親子連れの人が足を止めみていた。
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