ひまわりの涙
車に乗ってからは何も考えられなかった。

あんなに緊張していたのが嘘のように落ち着いている。

居場所を無くしてしまった喪失感だけが鞠乃を支配していた。

「もう…どうなってもいい…」

鞠乃は神城家に何を言われようとも今の生活を守るつもりではいた。

しかし、この騒ぎで戻れないことを悟ってからは全てを受け入れるしかないと思い始めていた。

あの手紙から…違う、神城家を出たときから私は操られていたんだ。

一人でやっているつもりが、いつも神城家の監視下の元で踊らされていた。

絶望的な感情に怒りすら湧かない。

それどころか、いつも気が付くのが遅い自分に腹が立ってしょうがなかった。

これかどうなるのか想像も出来ない。

ただ、私の意志は通らなく、操られる人生に引き戻らされることだけははっきり分かる。

二年間、贅沢なんて出来なかった、それどころか生活するのに精一杯だった日々だけど生きてる実感は味わえた。

短い間だったけど幸せな日々だった。

自由だった…

きっと私は大丈夫…

強くなれる…

そう繰り返し言い聞かせていた。
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