ひまわりの涙
長い廊下を歩き春仁の元へ向かう。

その間に数名のメイドに会ったが鞠乃の目には入らなかった。

春仁が居るであろう応接間までの廊下は日本庭園になっており、その中をゆったりと歩ける様になっている。

いつ見ても立派だと思った。

今からの事がなければユックリ過ごしたいと考えていてた。

「鞠乃お嬢様、ここで春仁様がお待ちです」

あまりにも熱心に見ていたため、既に扉の前まで来ていることに気が付かなかった。

「あっ」

小さく声が漏れた。

鯉淵は私を見つめ、覚悟は大丈夫かと目で合図しているようだった。

頷き返し、扉が開くのを待つ。

コンコンコン。

「春仁様、鞠乃お嬢様をお連れしました」

「入れ」

中からは威厳のある返答がすぐに返ってくる。

固唾を飲みながら扉が開いていくのをスローモーションの様に見ていた。



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