ひまわりの涙
テレビの中では今流行の特集が終わろうとしていた。

『次はニュースをお送りします。
今や世界トップとも言われている神城コーポレーション…先日…』

「えっ!!」

持っていたコーヒーカップを落としたのも気が付かないくらいに、飛び込んできた会社の名前が衝撃的だった。

金縛りにあったかのように体は動かない。

なに?いったい今なんていったの?

『……です。おめでたいですよね』

なに?なにがおめでたいの?

あまりに驚いたせいかアナウンサーがなんて言っていたのか分からなかった。

気が付けば足下はコーヒーの海になっている。

「あっ…」

カップを拾おうと手を伸ばして震えてることに気が付いた。

伸ばした手を引っ込め両腕で自分を抱きしめるように、守るようにソファーの上で丸まる。

アナウンサーが何を話したのか気にはなるもののそれ以上に聞くのが怖かった。

「私には…もう関係ない」

きつく身体を抱きしめ何度も何度もつぶやいているうちに、いつのまにか眠っていた。
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