ひまわりの涙
そんな私の様子を渋い顔で春仁は見ていた。

沈黙を破ったのは春仁だった。

「お前の二年間は聞かずとも知っている。調べさせていたからな。何があろうとまだ神城の人間だ。名前を傷つける事があってからでは遅いからな」

フッと笑うとコーヒーに口を付けた。

やっぱり…私は自由になってなど居なかった。

もっと落胆するだろうと思ったが、ここまでの道のりを考えると当たり前だと受け入れていた。

「簡潔にいおう。俺は結婚することになった。相手は大手芸能プロダクションの社長令嬢だ」

不思議だった。

何故私にそんな報告を?

相手の家の手前話を合わせろと言うのだろうか?それならワザワザ呼ばなくても伝言でもしてくれれば従うのに。

それに、お兄さまぐらいならもっと良い縁談があったのではないだろうか…

分からないことばかりだ。

「鞠乃…」

いきなり名前を呼ばれ顔を上げて兄を見ていた。

どれくらいぶり?名前を呼んでくれたのは…


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