ひまわりの涙
鞠乃には分からないことだらけだった。

理解が出来ないまま時間は過ぎ、仕事へ行くと言い春仁は部屋をでていった。

出て行く前に一言

「部屋はそのままになっている。これからはここで暮らすんだ」

と言い残して…




迎えにきた鯉淵と二年前に暮らしていた部屋へと戻ってきた。

部屋は三階にありテラスからみる景色が大好きだった。
 
何にも変わりはなく、今までもここで暮らしていた気さえする。

アパートより倍以上広い部屋。

贅沢な家具に一人じゃ広すぎるキングサイズのベッド。

ユックリ歩いていきソファーに腰掛けた。

さっきの話が頭から離れない。

今まで会社を吸収することは多々あった。

でも、だからってそれを理由に結婚だなんて。

鞠乃は自分へ向けてきた仕事より兄が心配だった。

お互いに大きくなってからは決して仲良い兄弟ではなかったが、幼い頃は何かと自分を庇い助けてくれていた。

異母兄弟であっても、私も母も兄は愛してくれていた。

あの時までは…
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