ひまわりの涙
ー8ー
物思いに耽っていると扉をノックする音が聞こえてきた。

「鞠乃?入ってもいいか?」

あっ!!そうだ、司さん!

すっかり約束を忘れていた。噴水の前で待っているって。

慌てて扉をあけた。

「ごめんなさい!約束したのに…ズット待っていてくれたの?」

申し分けなさすぎて早口で言い立てた。

そんな私を司は見下ろしながら笑っていた。

「そうだなぁ~、仮眠が出来るほどに待ったかなクククッ…」

自分の事で精一杯で司さんを忘れてしまうなんて…

「ごめんなさい…」

そう言って俯く私に

「俯くなと言ったろう?」

そう言って頭にポンと手を置いてきた。

「ところで、部屋へは入れてくれないのかい?お嬢様?あっ、男と2人きりはまずいか?じゃ、誓いをたてよう!何にもしないと、手はださないと」

突然の司からの申し出に飛び上がるほどビックリした私は数歩後ずさって司をみた。

とうの司はこれ以上ないと言うほど笑っていた。 

もしかして…からかわれた?

一気に恥ずかしくなり、司に背をむけて、どうぞ、と言うので精一杯だった。



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